とわ子の部屋

Twitter(X)の延長線で始めた独り言

運慶と快慶 六田知弘・佐々木香輔 写真展

東京・有楽町の相田みつを美術館で、2023年11月26日(日)まで入場無料で観られるのでぜひ。途中11月頭に展示入れ替えもあるようです。

運慶、快慶といえば名前は聞いたことのある仏師。奈良東大寺南大門の「金剛力士像」阿吽の作者。(阿は運慶作、吽は快慶作だったか)

 

写真家の六田さんは運慶を、佐々木さんは快慶をそれぞれ撮影され写真集にして出版される記念もあって、10月7日に写真家のお二人と、相田みつを美術館長を交えた3名のトークショーが開催されるというので(しかも無料で!)申し込んだ。私自身は写真に関しては全く素人。ただ、六田さんの作品に感銘を受けて(今年黎明美術館で出合った時に、感性というのか、対象の切り取り方がとてもユニークだなとすごく印象に残っていて)以来、六田さんのインスタなどフォローしていたら、上記トークショーの投稿があり、そそくさと申し込みをした次第。70名定員で申込番号20番台。イエイ♪

 

運慶、快慶は作風が全く異なるが、このトークショーでも撮影されたお二方の個性が出ていて、お互いの掛け合い(+館長さんもなかなかの気遣いトーク)が良かった。撮影方法とかスタイルとか、表面的な部分を聞いているとお互い相容れない(!)感じだったが、偶然なのか必然なのか、撮影対象(運慶、快慶)の特長に即した撮影をお二方がなさっていたのだろうな、という結論に私の中では達した。面白いね。撮影者だって仕事で「これを撮影してください」と依頼を受けて撮影されるところもあるのだろうけど、結果的にピッタリな写真家があてがわれ、作風をよく表す作品集が出来上がるのだから、不思議。例えばこれが、六田さんが快慶、佐々木さんが運慶を撮影したら…?などと想像もした。それはそれで美しい写真集が出来上がると思うが、もしかしたら物足りなさが出てきたかも…!?なんて。

 

申込時には記載がなかったと思うので分からなかったが、トークショーに続いて写真家お二人のサイン会と、飲食ありのレセプションも開催され、参加者は頂いてばかりの盛りだくさんの内容だったのも驚いた。確かにそれぞれ良いPRの場ではあったのだが。いやはや、こうやって紡がれていくのって、とても素敵だと思う。私も何かお返しができたらなと思う(が、とりあえず書くことしかできていない。。)。この場で陰ながら…トークショーを企画運営してくださった相田みつを美術館の館長さん、スタッフの皆さん、写真家のお二方に感謝申し上げます。

ます。

フィンガーフード。佐々木ご夫妻によるギャラリー兼カフェが奈良駅付近に11月オープン予定とのことで、佐々木さんの奥様による 。野菜類は全て奈良産。写真の丸いパイ生地の中にポテトサラダが詰まっているのが美味しかった!ワインもご準備いただいて、もう至れりつくせりでしたわ🍷

六田さんのご実家は奈良は御所市の老舗和菓子店とのことで、そのご実家からお菓子も。数多くご準備いただいたようで、一人1個と言われていたが、最後には「お持ち帰りを〜」スタッフさんからお声がけいただき、欲張りにも2つ頂く🙏

 

以下トークショーで印象に残った部分を箇条書き(でも多いw)

・相田館長(相田みつをさんのご長男)と六田さんは学生時代からの友人、早稲田の学部は違うが下宿先で部屋が近く、授業よりも意気投合してずっと話をしていた仲だとか。さらに、相田館長が当時部屋に貼った土門拳の仏像写真ポスターが、六田さんが写真家になるきっかけとなったというのだから、びっくり。縁は異なもの味なもの。50年という長いお付き合いが、このトークショーの軽妙な掛け合いに表れていて良かった。その点佐々木さんは若干アウェイな感じにもなったけど、館長はもちろん佐々木さんもサポート。
・六田さんは奈良育ちで小さい頃からお祖父様に連れられ仏像をよく見に行ってた、小学4年生くらいからは一人で仏像を見に行っては1体をボーッと1時間くらい見ていたという変わった少年だったらしい。さすが。その「蓄積」が運慶撮影時にも生きているのだと感じる。
・仏像撮影ってなかなかできないものなのですね(六田さん談)。言われると「確かにそうかも…」となるが、数多いらっしゃる写真家の中で、仏像を撮るよう指名されるようになるには、実力もさることながら、タイミングというのかご縁の部分が大きいのかもしれないと感じるなど。そして仏像撮影の飛鳥園という会社を知った。(佐々木さんは飛鳥園で修行された。)
・撮影に関して六田さんは「偶然」を大事にしていた。偶然とは、目に見えないものが表れる瞬間というのがあり、それをキャッチすること。撮影時はライティングはできるだけ自然光を取り入れる。そして「偶然」のエピソードが満載。“持ってる“方ですね。対象のユニークさというのか本質というのかを見出し切り取れる方なのかもしれない。
・佐々木さんは、カメラができるだけ人間の肉眼で捉えた画像を再現できるようライティングにこだわる方。自然との闘い(陽の光は待ってくれないので1分単位で表情が変わる)でもある。被写体である仏像を、仏師が目指したであろう状態=ゼロの状態で撮影できるようできるだけ工夫、ということを仰っていたと思うが、それもまた半端ない努力が必要だなと思った。仏師とある意味一体なろうと試みるというか。
・運慶と快慶の作風に関しては六田さんの仰っていた「快慶は“仏師“、運慶は“彫刻家“だったのでは?」というのが的確な気が…!
・佐々木さんは快慶について「快慶は弟子が3人くらいと少なく、割と一人(少人数)で作品を手がけていた様子が文献にあり、自分も少人数で撮影するのが好きだから、その点似ているかも」と仰っていた。

 

以下は個人的感想

・展示会場の入り口には運慶快慶の仏像それぞれの手元だけ大写しにした写真が並べられていてよかった…個人的に手元(指先の動き)はお顔に次いで表情が見える・魅せるものだと思うので。

・お二方の写真集をざっと拝見。佐々木さんの写真集は、撮影方法なのか快慶の作風なのか、とっても写真集映えする印象。繊細な作風故余計に(?)ページを捲るたびにシュッとした仏像が次々出てくるのは、なんというか“お得な“感じさえあった。(語彙力。。)
六田さんの写真集の運慶も素敵なのだが、個人的には「写真集」という小さなページに収めて欲しくないというかなんというか。私は六田さんの作品は大きなパネルで飾りたい。あの写真展で飾られていたパネルを譲って欲しい…!!です…!!
・六田さんとお話ししてみたかったけど、一体何を話していいのか分からず、声すらかけられなかった。あー。(拙い感想でもお伝えした方が良かったか?と思いながらこの文章を書いてます。)しかし六田さんはアーティストですね、とてもピュアな方という印象を受けた。佐々木さんはその点冷静さというのか商業的なところが残っているというか。それぞれの持ち味があるって素敵なことだなー。
・レセプションの時、フィンガーフードにワインをいただきながら写真を鑑賞できたのは、とっても良かった。広くない空間ではあったが、グルグル何周したことか(笑)なんという贅沢!!本当に感謝です。

 

また気づいた点があれば書き足します🙏